不登校児童・生徒の公的支援施設「適応指導教室」【奈良】
奈良県大和郡山市の「ASU(あす)」
近年減少傾向にあるが、中学生では今も、全国で100人に3人近くが不登校となっている。
不登校児童・生徒の公的支援施設「適応指導教室」は全国の自治体で設置されているが、奈良県大和郡山市の「ASU(あす)」は、小規模指導の形態を保ちながら、学校並みの学習指導内容で、内申書を独自に書ける権限も与えられているらしいです。
全国的にも前例のない試みだったが、開設6年で30人近くが高校進学を果たすなど、着実な成果を挙げている。
文部科学省の統計によると、中学校で30日以上欠席している不登校生徒数は、平成17年度で9万9578人。
13年度をピークに年々減少傾向にあり、同年度の88.7%となった。
しかし全生徒数に占める不登校の割合は過去3年とほぼ同じ2.75%。
不登校となった直接のきっかけとしては
「友人関係をめぐる問題」が全体の22.4を占めているみたいです。
大和郡山市教委が市役所分庁舎に「ASU」を開設したのは13年度。
前身は、その4年前に開設した適応指導教室で、大和郡山市が不登校児童生徒の支援教育特区に指定されたことが弾みとなった。
17年度には、築約100年で県指定文化財でもある郡山城跡内の城址会館に移転。
木造の落ち着いた雰囲気のたたずまいが心をなごませる。
適応指導教室では、カウンセリングや小集団活動などを通じ、子供の心の安定とともに自立心や社会性の育成もはかる。最終的な目標は、子供たちの学校復帰への意欲を高めることだ。
しかし、「ASU」はその枠から一歩踏みだし、10~15人程度の小規模形態を保ちながら、学校に戻れなくとも中学卒業レベルに達する学習指導を実施。
さらに市教委は、全国で初めて、学校ではない適応指導教室で、独自に高校進学にかかわる内申書が書ける権限も与えた。
「全国には約850の適応指導教室があるが、学校に通っていない生徒は進学に不利。
ここでは適応指導教室の形を保ちながら、高校を受けることができる」
と、室長の真田和則さん。
それだけに「成績は甘くつけない」ともいう。
カリキュラムには、英語や数学などの通常科目に加え、心理ゲームなどを通して表現力やコミュニケーション力を養う時間や、職場体験などの体験学習を行う時間も採り入れている。
「不登校の子供はどうしても体験が少ない。体験を通してコミュニケーション能力を育てることができるし、教室では見られない側面を見ることもできる」。
指導するのは、採用先の決まっていない若い教員免許取得者と、退職教員の計9人。
カウンセリングに当たる臨床心理士も週3日勤務する。
すべての生徒が毎日通ってくるわけではなく、通学すら難しい生徒もいるが、真田さんは
「朝来るだけでもいいし、個別でも勉強できる。それぞれの事情に合わせて根気よく対応します」
と話す。
これまで約100人がASUに入り、うち29人が直接高校に進学。もちろん少しずつ元気を取り戻し、もとの中学に復帰した生徒もいる。
先進的な取り組みに、教育関係者らが国内外から視察に訪れている。
出身者の中には卒業後もたまに遊びに来る生徒がいる。
真田さんは「心のよりどころになれたのでは」
と喜びつつ、
「不登校の原因はさまざまで一律な解決策はない。今後も不登校数を減らしていきたい」
と話されています。



